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技術コラム

温度上昇と工具寿命の関係

2021.07.30

切削お役立ち情報 No.26

火は、人間の生活にとって、欠かすことのできないものです。

人類の歴史を紐解いてみると、全ての時代を通じて、人の営みを支えてきたのが、火であることに気が付くでしょう。

今は、スイッチ一つで簡単に火をつけることが出来ますが、古代にはそんな便利なものは無く、毎回、人力で火を起こしていました。

非常に労力の要る作業です。これを簡単に済ませたいと、右図のような道具を思いついた人がいました。

紐の張力を利用し、中心の棒を回転させると、先端が擦れ、摩擦を発生させます。その摩擦により、熱が発生し、火を起こします。まさに先人の知恵ですね。

ところで、この道具、「切削加工」に似ていると思いませんか?

高速で回転する物体が、別の物体と摩擦を起こすところは、工具刃先が擦れて、摩擦を起こす姿に近いと思いませんか?

火おこしと同じで、切削加工でも大きな熱が発生します。

工具刃先が被削材と擦れて発生する摩擦(それと被削材をせん断変形させる力)が熱の原因です。

  マイギリ式火起こし

 

実際に加工現場に立たれている方にとっては「何を今更」ということでしょう。

加工直後の刃先は、場合によっては、熱く全く触れることが出来ない場合もあります。

考えてみれば当たり前のことですが、切削加工を理解する上で非常に大切な事柄なので、もう少し詳しく見ていきましょう。

 

火おこしは、のんびりと棒を回していては、一向に火が付きません。十分に温度を上げるためには、高速で回転させ続けることが重要です。

また、上手に火を起こすコツとしては、火おこし棒の先端を下の板に常時接触させることです。棒の先が浮き上がってしまうと、せっかく摩擦で生じた熱が逃げてしまうからです。

これは、切削加工にも当てはまります。

 

刃先が被削材を擦る速さ(切削速度)が上がるほど、刃先の温度も上がっていきます。

右図では、切削速度50m/minの時は、600°Cですが、200m/minでは、800°Cを超えています。

 

また、常に刃先が被削材と接している場合と、そうでない場合では、温度上昇に違いがあります。そうです、上で話したように、頻繁に刃先が離れる加工(断続加工や転削)よりも、常に刃先が被削材に触れている加工(連続加工)の方が、温度は上昇しやすいのです。

 

刃先の熱と工具寿命には、密接な関係があるのですが、その話は、また次回に。

 

 

次回は、「蛍は、分速30メートルで飛ぶ!?」についてです。

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